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リオフリンツ広場に着いた。
今日は平日なので、人影はあまり見あたらない。
夏になれば、草原や木々のある広場だが、冬だとあたり一面雪化粧だ。
「遅い……」
「いゃ、わりぃわりぃ」
到着早々アーノルドに睨まれてしまった。
広場の中央にある時計台を掠め見る。
時刻は、同時45分。
約束の時間を15分ほど遅れた事になる。
「お前は俺を凍えさせる気か?」
アーノルドの姿を見ると、両手で自分の体を抱きしめ、少し震えているように見える。
セーターにマフラー、手袋に耳当てと完全武装だ。
アーノルドのいる周辺を見回すと、雪風から身を守るような遮蔽物は特に見当たらない。
あるというなら、時計台くらいだろうが、あまり意味をなさないだろう。
「このぐらいの寒さじゃ死なねえって」
俺は、笑いながらアーノルドの肩をバシバシ叩いた。
正直なところ、今のアーノルドを見て、今後の作戦に影響がでないか心配だった。
「く……まぁいい、さっさと行くぞ」
「おぉそうだったな……んで場所はどこなんだ?」
「リオフリンツ3番街のマンションだそうだ」
街の作りはいたって簡単で、街の中心が軍事施設全般で、そこから環状に広がっていて、上から見たらちょうどダーツの的のような円形をしている。
そして、その輪の地区でリオフリンツやらアーバルンやらの名前があり、その円を8等分したら番地になっている。
ちなみにアーノルドは、中央から数えて2番目。
ここリオフリンツは、3番目。
俺の家は、4番目にある……ちょっと遠いが、ランニングするにはちょうどいい距離だ。
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