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男はその場にただ立っており、自ら動く気配は見せない。
ただ、真後ろからの風を受け外套の腕の端からは、街の光を反射して銀色に輝くナックルのような物が見え隠れしている。
「んじゃあコイツを倒せばミッションクリアってことか」
「多分、そうなんだろうな」
「じゃ~あやることは1つだな」
俺は自分の得物に手をかける。
視界の端に映るアーノルドもまた自らの得物に手をかけている。
「コイツをさっさと……」
「ぶっ倒す!」
先に動いたのはアーノルドだ、屋根を蹴り跳躍、一気に男との距離を詰め鞘から一気に刀を引き抜く。
それと同時にアーノルドを飛び越すように跳躍。
男はそれをやすやすと手甲で受け流し、余った拳を下から突き上げ反撃……をしようとするも、男の手はアーノルドの顔の前を縦に通り抜け、アーノルドの頭の上で金属音が鳴り響き火花が散る。
その手甲の先には俺の両刃の剣が光っている。
男は衝撃を逃がすために後方に跳躍する、それと同時にアーノルドの放つ刃が外套を掠め、布が裂ける。
男はその過程の中で、手甲に体重をかけている俺を、力任せに自らの後方へと飛ばした。
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