88人が本棚に入れています
本棚に追加
「おばさんもきっと心配してるよ、早くお家に帰ろ。僕もついてるから、おばさんにちゃんと謝ろうよ、ね?」
そう言って、僕は亜也美ちゃんの左手を取った。
コクンと小さく頷いて、亜也美ちゃんが立ち上がる。
涙はもう完全に引いてるみたい。
よかった、やっぱり笑顔のほうがカワイイや。
夕日も傾きかけた帰り道。
手をつないで歩く僕たちの影が、長く伸びていた。
僕は、隣の亜也美ちゃんをチラッと見た。
不思議だった。
なぜ、亜也美ちゃんの泣き声が僕の耳に届いたのか。
だって、僕がいた所から秘密基地まで、けっこう離れていたんだから。
本当なら聞こえるはずがない。
だけど、僕には間違いなく聞こえたんだ、亜也美ちゃんの声が。
最初のコメントを投稿しよう!