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背中に違和感を覚えたのか、彼が目を覚ましてしまったみたいだ。
こちらに体を回転させる。
だが、まだ寝ぼけているようで、目は片目を薄く開けている状態。
「ごめんなさい、起こしちゃった?」
「ん……」
眠り足りないように、目をゴシゴシとこする。
その仕草さえも、普段見慣れないだけに一層愛しさが増す。
「まだ寝てていいよ、チェックアウトまで2時間以上あるから。時間になったら起こしてあげる」
麻梨子は彼の耳元に顔を近付け、囁いた。
「うん……」
そんな彼女の声が聞こえているのかいないのか、彼は小さく呟くと、再び麻梨子に背中を向け、また夢の中へと帰っていった。
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