2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
ビーリアルはいつも独りでした。
みんな彼を避け、相手にしませんでした。
神様でさえ、彼を避けていました。
……僕達も、ビーリアルを避けていました。
「あっ、ビーリアルだ」
仲のいい天使が僕達に言います。
それは、合図。
僕達はビーリアルが来る反対方向に、逃げるように移動を始めました。
あからさまな、仲間はずし。
それはいつもすることで、どこか当たり前のことになっていました。
そして、また胸が痛くなるのです。
「……オレ、あいつ嫌い」
一人の悪魔がそう呟きました。
「僕も……」
嫌い……というより、苦手でした。
蛇を思い出させる彼の紅い瞳が苦手でした。
天使が言います。
「恐いもんなぁ」
また、僕の胸が痛みました。
みんな、ビーリアルの持つ「死」の力を恐れていました。
「『死』の力はビーリアルのせいじゃないでしょ。仕方ないじゃない」
そう言ったのは、リーダーシップを取るシンシアでした。
彼女は僕達の中で一番年上で、とても優しい悪魔でした。
.
最初のコメントを投稿しよう!