紅い瞳

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 ビーリアルはいつも独りでした。 みんな彼を避け、相手にしませんでした。 神様でさえ、彼を避けていました。 ……僕達も、ビーリアルを避けていました。 「あっ、ビーリアルだ」 仲のいい天使が僕達に言います。 それは、合図。 僕達はビーリアルが来る反対方向に、逃げるように移動を始めました。 あからさまな、仲間はずし。 それはいつもすることで、どこか当たり前のことになっていました。 そして、また胸が痛くなるのです。 「……オレ、あいつ嫌い」 一人の悪魔がそう呟きました。 「僕も……」 嫌い……というより、苦手でした。 蛇を思い出させる彼の紅い瞳が苦手でした。 天使が言います。 「恐いもんなぁ」 また、僕の胸が痛みました。 みんな、ビーリアルの持つ「死」の力を恐れていました。 「『死』の力はビーリアルのせいじゃないでしょ。仕方ないじゃない」 そう言ったのは、リーダーシップを取るシンシアでした。 彼女は僕達の中で一番年上で、とても優しい悪魔でした。 .
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