紅い瞳

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誰か落ち込んでいると、元気を与えてくれる女の子でした。 みんなに優しいシンシアは、誰からも好かれていました。 「シンシアは恐くないの?」 天使の質問に彼女は黙りました。 そして、小さく口を開きました。 「わからない」 それは、どこか寂しそうな声でした。 シンシア達の会話を聞いている時、僕は後ろに誰かいることに気付いて振り返りました。 僕の目線の先にいたのは、ビーリアルでした。 いつもならすぐに姿を消すビーリアルが、僕達に連いて来ていました。 最近、ビーリアルは沢山の天使や悪魔に悪戯をしていました。 僕達の大切な翼を傷付けることばかりしていたのです。 ビーリアルの紅い瞳は、怪しく輝いていました。 僕は恐くなり、小声でシンシアにビーリアルが連いて来ていることを教えました。 シンシアはすぐさま、ビーリアルと向き合いました。 「何?」 冷たいシンシアの一言に、誰も動けませんでした。 いつも温かいシンシアの瞳は、とても冷酷な色になっていました。 ビーリアルは口を開きません。 .
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