2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
誰か落ち込んでいると、元気を与えてくれる女の子でした。
みんなに優しいシンシアは、誰からも好かれていました。
「シンシアは恐くないの?」
天使の質問に彼女は黙りました。
そして、小さく口を開きました。
「わからない」
それは、どこか寂しそうな声でした。
シンシア達の会話を聞いている時、僕は後ろに誰かいることに気付いて振り返りました。
僕の目線の先にいたのは、ビーリアルでした。
いつもならすぐに姿を消すビーリアルが、僕達に連いて来ていました。
最近、ビーリアルは沢山の天使や悪魔に悪戯をしていました。
僕達の大切な翼を傷付けることばかりしていたのです。
ビーリアルの紅い瞳は、怪しく輝いていました。
僕は恐くなり、小声でシンシアにビーリアルが連いて来ていることを教えました。
シンシアはすぐさま、ビーリアルと向き合いました。
「何?」
冷たいシンシアの一言に、誰も動けませんでした。
いつも温かいシンシアの瞳は、とても冷酷な色になっていました。
ビーリアルは口を開きません。
.
最初のコメントを投稿しよう!