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やがて僕は、地上に降り立ちました。
前世に罪を犯した人達を不幸にするために、地上に降り立ちました。
それが、僕達の仕事だからです。
不幸を置いていく僕達……悪魔を人間は嫌い、避けました。
地上に降りてから、僕はビーリアルの気持ちを知りました。
嫌われたくないのに、不幸にさせたくないのに……。
自ら望んで、悪魔になったんじゃないのに……。
地上に降りた僕に襲いかかったのは、孤独でした。
今、ビーリアルを避けた時の胸の痛みと、シンシアの言葉の意味を知りました。
一人の優しいお婆さんが、僕を孤独から救ってくれました。
不幸しか与えられない僕を、「家族」として受け入れてくれました。
僕はお婆さんと暮らしていて、時々あの紅い瞳が頭を巡ります。
―ビーリアル……。君は今、どこにいるの?
僕のように、「家族」として受け入れてくれる人に出会えたのかな?
それとも……君はまだ、独りなのかな?
もし、君と出会ったら、僕は逃げないよ……。
出会ったら……友達になろう。
僕はもう、君の紅い瞳も、「死」の力も恐れないから……。
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