邂逅

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しかし、身構えた少女に拳が振り下ろされることは無かった。 更に少女の腕を掴んでいたはずのシン兵の手は離れてしまった。 少女は不思議に思い、恐る恐る目を開けた。 すると、そこには先程まで自分の腕を掴んでいたシン兵の首に剣を突き刺す一人の青年の姿があった。 反り血を顔に浴びながらも青年の目は大きく見開かれていた。 青年は一言、 『下がっていろ。』 とだけ呟くと、周りで剣を向け威嚇している残りのシン兵の方へ体を向け突っ込んでいった。 最初に切り掛かってきたシン兵の剣を体の回転だけでかわすと、素早い動きで剣を横に薙いだ。 次の瞬間、シン兵の首筋からは朱い飛沫があがる。 青年は次々とシン兵の命の鼓動を止めていく。 振るう剣に迷いは無く、的確に急所を突いていく。 少女(この人、強い…。) 少女は青年の強さに驚き座り込んだまま、その光景を眺めていた。 ものの一分も経たないうちに七人いたシン兵は物言わぬ骸と化していた。
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