開口

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アレックス『すまない…。お嬢も我慢してください。』 サラは俯いたまま頷いた。 アレックス『ただ、私達はシン王シュバイツにとって邪魔な存在なのだということ。これで勘弁してください。ですから、シン軍は十二将騎士団の一部隊を投入して来ているのです。』 アレックスは更に言葉を続ける。 アレックス『ガボアの隊は既にこのラグノーマ山脈の近くまで来ているらしく、今この山を越えるのは危険な状況なんです。』 エデンとサラは黙って頷く。 そして、暫くの沈黙の後エデンが口を開いた。 エデン『そうなると、少しの間、身を隠す必要があるって事ですよね?』 アレックスが頷く。 エデン『それならうってつけの場所があります。』 サラ『え?』 エデン『いや、実は今ある人の家に世話になってるんだけど、その家が凄い山奥で普通の人は分からないような場所に建ってるんだ。二、三日ぐらいは隠れていられるはずだよ。』 エデンの提案にサラが喜ぶようにして言った。 サラ『ホントに?じゃあ、そこで少しの間お世話になろうかな…。』 アレックス『こんな事を聞くのは失礼だが信用できる人なのかな?』 アレックスが用心深く聞いてくる。 エデン『俺も会って数日だけど悪い人じゃ無い。俺と同じソフィア人だし、同じ様にシンに対していい気持ちは持ってないから。』 エデンは少し微笑みながら答えた。 アレックス『そうですか…。では、少しそこでお世話になるとしましょうか。』 サラ『うん。』 エデン『じゃあ、決まりですね。俺に付いて来て下さい。』 そうして三人はゆっくりと山道まで歩き出した。
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