グラス近郊の戦い

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シープラス『あ、トリーン…。もう、着いたのか~?』 グラビット『トリーン。中々早かったな…。』 トリーンと呼ばれた女は髪をかき上げながら椅子に座る。 トリーン『えぇ。途中、あなた達がグラス攻略に手間取ってるって聞いて行軍を早めたの。』 トリーンは少し皮肉を込めて言った。 グラビット『ぐっ…。』 トリーンの言葉で二人は目を合わせた。 グラビットは腕組みをして顔をしかめ、シープラスは頭をかきながら参ったなといった表情になった。 その時、トリーンと共に入って来た男が口を開いた。 男『トリーン…。からかってる…。…グラス…堅い…。…苦戦…仕方ない…。』 ボソボソと話すので中々聞き取りにくい。 シープラス『ジャック~。久しぶりだね~。』 ジャックと呼ばれた男は長い前髪のせいで片目が隠れている。 かろうじて見えている左目も、生気が無い様に見える。 グラビット『ジャック…。お前が家を出るなんてどれぐらいぶりだ?』 ジャック『…一年…。』 トリーン『私が無理矢理連れて来たの。十二将の一人が引きこもりだなんて…。』 トリーンが頭を抱える。 グラビット『それで。十二将一の頭脳の持ち主はグラス攻略をどう考えてる?』 トリーン『えぇ、その事だけど…はっきり言ってグラスは正攻法では難しいわね。』 トリーンが腕を組んで目を閉じる。 綺麗な顔立ちをしているが、ランタンの明かりで更にその美しさが際立つ。 シープラス『じゃあ、奇襲とか?』 シープラスが呟く。 トリーン『そうね…。』 グラビット『だが、グラスはガッチリ守りを固めている上に、攻め口が一つしかない…。そんな相手に奇襲なんて掛けれるのか?』 グラビットが険しい表情で聞く。
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