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朝、薄暗い空からは冷たく静かに小雨が降り出していた。
いつもより早く目が覚めたカメルは東門の城壁に立ち、地平線を眺めていた。
周りでは夜通し見張りを続けていた兵達が眠そうに目を擦り、欠伸をしている。
若くして隊長となったカメルは兵達を気遣い声をかける。
カメル『ご苦労様。交代の時間まで後少し、頑張ってくれ。』
見張りの兵達はピッと背筋を伸ばし頭を下げた。
一通り城壁の上を歩き回るとカメルはグラスの街を一望出来る場所で足を止めた。
カメル(雨か…。おそらく叔父さんの言う通り、シン軍は今日は何か仕掛けて来るだろう…。これ以上シンにセイツを壊されない為にも気合い入れなきゃな…。この街は絶対に守る。そして、ここを防ぎきってシン軍を打ち破ったら今までに墜とされた街や村を奪い返さなければ…。)
強い決意の視線で街を眺めカメルは再び歩き出した。
その時、一人の兵がカメルに向かい走って来た。
兵『隊長。』
カメル『ん?どうした?』
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