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シトシトと小雨は降り続きゼフのテントの近くには水溜まりが出来上がっていた。
そして、テントの屋根から流れる水滴がその水溜まりに落ち、ピトッ、ピトッ、と一定のリズムを刻んでいる。
ゼフは昨晩、カメルがテントを出てから一睡も出来ずにいた。
甥の手前、心配をかけまいと平静を装ったが実は心中穏やかではいられなかった。
寝床には付いているのだが目をつむっているだけだった。
目を開け、体を起こしテントの中を見渡す。
テントの隙間からうっすらと朝の光りが見える。
ゼフ『朝か…。』
一言だけ呟くと、ゼフはコップに残っていた水を一口飲んだ。
ゼフ(戦で緊張して眠れないなんて、十年前の初めての戦場以来だな…。)
ゼフはセイツ軍で名の知れた猛将だが、十年前までは一隊長にすぎなかった。
しかし、シンが戦争を興し、セイツやエントールの軍は強制的に戦争に参加せざるを得なかった。
それまでは平和協定が結ばれていた為にゼフを始め、セイツ、エントール軍の皆が初めて経験する戦争であった。
ゼフは何よりも武に優れていた為に、常に武功を上げていた。
つまり、皮肉にも戦乱の世の中が彼を出世させていったのだった。
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