ラグノーマ平原の戦い

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エデンはその声の主が誰なのか直ぐに分かった。 男は背が高く金髪を七三分けにし、銀縁の眼鏡を掛け、右手を上げている。 『これは軍団長殿。お早うございます。』 エデンは右手に握りこぶしを作り、それを自分の左胸へ持っていき一礼した。 これはエントール軍の敬礼のポーズである。 『オイオイ…、よしてくれよ…。俺達、幼なじみじゃないか。』 『いえ、いくら幼なじみとはいえ此処は戦場。立場上の礼儀はわきまえさせて頂きます。』 『ハァ~。エデン…いつからそんなに頭の固い軍人さんになったんだよ…。』 軍団長は困ったように頭を掻きぼやいている。 エデンはその姿を見て笑いながら言った。 『…な~んてな。冗談だよ冗談。久しぶりだなレヴィン。』 『からかうなよー。』 『ハハハハ。』 二人は暫く笑いながら肩を組んで久しぶりの再開を喜んだ。 『それにしても出世したなぁレヴィン。参謀本部副官だっけ?そして戦場に来れば軍団長。一軍を任せられる程にまでなったか。昔からずば抜けて勉強出来てたもんなぁ。幼なじみとして鼻が高いぜ。』 『よしてくれよ。誉められるのは苦手なんだよ。エデンだって参謀本部じゃ有名だぞ。普通の一兵卒のくせに剣の腕前は一級品。喧嘩早くて上官の言う事を聞かないが今や隊長候補の最有力だ。ってね。』 レヴィンは笑いながらエデンに言った。 『フン!喧嘩早いのも上官に逆らうのも全部あいつらが悪いんだ。何かにつけソフィアの流民だの何だのって馬鹿にしやがって!』 エデンは座り込み地面を叩き吐き捨てるように言った。
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