152人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
エデンはその声の主が誰なのか直ぐに分かった。
男は背が高く金髪を七三分けにし、銀縁の眼鏡を掛け、右手を上げている。
『これは軍団長殿。お早うございます。』
エデンは右手に握りこぶしを作り、それを自分の左胸へ持っていき一礼した。
これはエントール軍の敬礼のポーズである。
『オイオイ…、よしてくれよ…。俺達、幼なじみじゃないか。』
『いえ、いくら幼なじみとはいえ此処は戦場。立場上の礼儀はわきまえさせて頂きます。』
『ハァ~。エデン…いつからそんなに頭の固い軍人さんになったんだよ…。』
軍団長は困ったように頭を掻きぼやいている。
エデンはその姿を見て笑いながら言った。
『…な~んてな。冗談だよ冗談。久しぶりだなレヴィン。』
『からかうなよー。』
『ハハハハ。』
二人は暫く笑いながら肩を組んで久しぶりの再開を喜んだ。
『それにしても出世したなぁレヴィン。参謀本部副官だっけ?そして戦場に来れば軍団長。一軍を任せられる程にまでなったか。昔からずば抜けて勉強出来てたもんなぁ。幼なじみとして鼻が高いぜ。』
『よしてくれよ。誉められるのは苦手なんだよ。エデンだって参謀本部じゃ有名だぞ。普通の一兵卒のくせに剣の腕前は一級品。喧嘩早くて上官の言う事を聞かないが今や隊長候補の最有力だ。ってね。』
レヴィンは笑いながらエデンに言った。
『フン!喧嘩早いのも上官に逆らうのも全部あいつらが悪いんだ。何かにつけソフィアの流民だの何だのって馬鹿にしやがって!』
エデンは座り込み地面を叩き吐き捨てるように言った。
最初のコメントを投稿しよう!