グラス近郊の戦い

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辺りは目も当てられないほどの惨状だった。 地獄というものがあるとすれば、正に今のこの場所と言えるだろう。 両手を失い地面に這いつくばりながらも未だ息をしている者、体中に槍で穴を開けられ絶命している者。 そんな戦う意志の無いセイツ兵をシン軍は蹂躙する。 狂気…。 今、戦場を覆い尽くしているものは狂気だった。 セイツ兵の中には勇敢に武器を持ち最期まで抗う兵も居るが、多勢に無勢。 あっという間に囲まれてズタズタに切り刻まれる。 カメルは周りの兵達がカメルの馬を引きグラスへの道を走っていた。 しかし、シン軍の手によって退却路を遮断されてしまっていた。
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