グラス近郊の戦い

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ゼフの登場により生き残ったセイツ兵の目に輝きが戻った。 しかもシン軍の中にはゼフの勇猛さを知る者も多く、精神的にもセイツ軍は優位に立った。 だが… シン軍の知将トリーンは直ぐに自分達の軍の動揺を感じ取り、的確な指示を出した。 更にシープラス、ジャックの両将をゼフ討伐に向かわせていた。 そのトリーンの指示により、崩れかかっていたシン軍は統制を取り戻していた。 一応、グラスへの退却路を確保してはいるものの、撤退戦は味方の被害が甚大となる。 ゼフはグラスに残して来た戦力が惜しかった。 ゼフ『このような形になるなら始めから総力戦でぶつかるべきだったか…。』 ゼフは舌打ちし、隊列を整えながら迫るシン軍を睨み付けながら呟いた。 ゼフ『まぁ、そんな事を今更考えても無意味だな……。――全軍に言い渡す!己の全てを出して戦え!そして、グラスの門をくぐるまでは死ぬことは許さん!』 セイツ兵『オオォ!!』 ゼフの号令と共にセイツ軍は撤退を始める。 ジャック『ゼフ……逃がさない……。』 セイツ軍の最後尾で戦うゼフをジャックが見つける。 ゼフも迫り来るシン兵を相手にしながら、異様な風体の男を視界に捉える。
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