グラス近郊の戦い

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カメルは直ぐさま体を捻り先頭の馬の頭に槍を打ち込む。 すると、馬は速度を保ったまま崩れ落ちる。 その馬に乗っていた兵は頭から地面に落ち、そのまま動かなくなった。 カメル『ハァハァ…。』 カメルの反撃も此処までだった。 馬に槍を打ち込んだ際、相当な衝撃を腕に受け槍を落としてしまっていた。 ただでさえ満身創痍のカメルは既にボロボロ。 他に生き残っていたセイツ兵達も殆どが息絶えていた。 カメル『グッ…くそっ!』 残りの騎兵が二騎、カメルに槍を振りかざす。 カメルは諦め、目を閉じた。 閑散とした荒野に激しい金属音が鳴り響く。 時折、肌を撫でる風は血の匂いがし、辺りに砂埃を舞い上げる。 ゼフ『っらぁ!』 ゼフの渾身の一振りをシープラスも本気の一撃で受け止める。 再び鍔ぜり合いを繰り広げるゼフとシープラス。 しかし、力比べではゼフに一日の長がある。 シープラスは弾き飛ばされてしまう。 シープラス『かぁ~。参ったねコリャ。』 体勢を整え軽口を叩いてはいるが、シープラスの鎧の中の体は限界が近付いていた。 ゼフ『どうした?そんなもんか十二将騎士団ってのは?』 ゼフが槍を肩に担ぎシープラスを見下すように言い放つ。 シープラス『いや~あんたがバケモンみたいに強いだけだよ~。』 シープラスも必死に笑顔を作り余裕を装う。 ゼフ『さて、次で終わりにしようかぁ!』 ゼフはそう叫び、シープラスへ向かっていった。
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