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ゲンに続いて門を出て行くエントールの兵士達。
その勇壮な援軍はカメルの目に頼もしく写っていた。
カメルがセイツの兵卒に両肩を支えられ立ち上がろうとした時、後ろから声をかけられた。
『カメル!無事だったか。』
カメルが振り返ると、そこにはセイツの隊長級の面々が揃っていた。
カメル『えぇ…何とか…。』
カメルは隊長達の顔を真っ直ぐ見る事が出来なかった。
カメル『すみません…。私の軽率すぎる行動で多くの兵達を死なせてしまった…。』
カメルは下を向き唇を噛み締めながら声を震わせた。
すると、一人の隊長がカメルの側へ歩み寄り語りかける。
『我々、セイツ軍にあって一番冷静なお前が討って出ると判断したんだ。その結果がどうであれ、誰もお前を責めれないさ。第一、仮に俺が討って出たとしたら東門はシンに破られていたはずだ。』
カメルは下を向いたまま小さく頷いた。
すると、別の隊長が口を開く。
『今回はシン軍にまんまと裏をかかれた。我々をグラス、クロック両山に引き付けておいて少数で門を奇襲。そこで敗走を装い我々を城外に誘い出す。まんまと罠にかかった我等を叩いた。更に両山にいた軍勢を一気に下山させ城門へ。カメルを東門前で囲んだのは最初グラス山やクロック山にいた部隊だ…。』
カメル(十二将のトリーン…。あの女は全てを計算していた。しかも、ゼフ将軍の援軍という計算外の事も臨機応変に対処していた…。策一つでこんなにも戦局が動くのか…。)
カメルは今回のシン軍の策の全貌を知り、戦は腕力だけでは勝てないという事が身に染みた。
『だが、奴らもエントールの援軍は最大の誤算だろう。我等も早急に軍を編成し直し討って出るぞ!カメルは今はとにかく手当を受けろ。』
カメルは力無く頷いた。
そして隊長達は一斉に各所へ散り、指示を飛ばす。
カメルはその姿を確認すると気を失った。
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