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『エデン、怖いのか?』
大柄の甲冑を身に纏った男が隣にいる青年に声をかける。
エデンと呼ばれた青年は首を横に振りながら答えた。
『いや、こんなに月が綺麗な夜はどうしてもあの日の夜を思い出すんです。』
『そうか、お前はソフィア生まれだったな……。あれからもう10年か…。』
『ええ、あの時はただ泣き叫ぶばかりで何が何だか分かっていませんでしたからね。』
エデンは少し自嘲気味に笑い呟いた。
『だが今のお前は違うだろう?今のお前は闘う力を得た、護るべきモノも理解している。人は闘う理由が分かっていれば強くあれる、迷いや弱気は心の奥にしまい込め。少なくとも俺はお前をソレが出来る戦士として鍛えたつもりだがな。』
男はそう言ってエデンの背中を叩いた。
『そうですね。ガンプ隊長。ありがとうございます。それでは夜間の見回りに行ってきます。』
『おう。明日は恐らく敵さんも討って出るだろうから今夜は早めに切り上げてゆっくり休め。』
『はい。分かりました。おやすみなさい。』
エデンは軽く頭を下げ夜の陣中を一人歩いていった。
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