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エデンは何も言わずガンプの後に付いて歩いた。
二人は無言のまま歩きガンプのテントへ入った。
ガンプはエデンを適当な所に座らせると、自分も寝具の上に座り話し始めた。
『……すまんな。同じエントール人として謝らせてくれ。』
『いえ…。隊長は別に…。』
『なぁエデン…。人とは酷いな。一部ではあるがエントールにはソフィア、ギャスパーの避難民に対しての差別がある。大国ゆえの奢りか、どうも他国を見下す傾向がある。いつ自分達が避難民になるか分からないこの時代に…。』
エデンは、ただ黙って聞いていた。
『クロムは、お前の才能に嫉妬しているんだ。入隊して直ぐにあいつは神童と呼ばれ最年少で隊長になるだろうと皆、噂していた。…だが、半年遅れで入隊してきたお前にあっという間に上を行かれた。しかも、そいつはソフィア人…。悔しかったんだろう。だからといってお前を馬鹿にしていいという道理は通らんがな。』
ガンプは悲しそうな顔で、だが優しい目でエデンにそう言った。
『…クロムの奴がやけに絡んで来るのは…そういう事だったんですか。』
『あぁ。』
『いや、でも少しだけ気が楽になりました。ソフィアを馬鹿にされるのはやっぱり頭に来るけど…でも隊長のように差別しないで、ちゃんと見てくれる人も結構居ますし。本当に感謝してます。早く戦争を終らせてエントールに帰りましょう。』
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