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エデンはガンプの横に移動し、次々にシン兵を倒していった。
エデンとガンプの通った後にはかなりの数の屍が出来た。
二人は正に鬼神の如く戦場を朱く染めていく。
その後ろ姿にガンプ隊の他の兵達も士気が上がり、次々と敵を倒していく。
刹那、エデンが一人の敵兵を斬り一息付いたその時、一瞬雨が止んだように思えた。
エデンが空を見上げると、何か黒いものが空を覆い尽くしていた。
そして次の瞬間、エデン達の少し後ろに居たガンプ隊の兵士達がバタバタと倒れていった。
一瞬の出来事にエデンが呆気に取られていると、ガンプの声が聞こえた。
『矢の雨だ!オイ!エデン、ぼーっとするな!』
エデンが我に帰ると、再び雨が一瞬止んだ。
エデンは咄嗟に近くに倒れていた兵の死体を持ち上げ、それを盾にするように身構えた。
周りを見渡すと、ガンプ隊の兵は殆どが倒れ、ほぼ壊滅状態となっていた。
(あの雨を遮る程の矢を放って来たのか…。一体どこから…。)
エデンがガンプの方を見ると、ガンプは二人の敵兵の死体を盾に矢を防いでいた。
『エデン!生きてるか?』
『えぇ。何とか…。』
『よし。だがウチの奴らは殆どやられちまった…。これ以上ここに居ても犬死にだ。何としてでも生きてここを逃れるぞ!』
ガンプがそう叫んだ時、シン軍の後ろに赤い甲冑に身を包んだ騎馬兵の大軍勢が見えた。
ガンプはその軍勢を見た途端、目を見開き大声で叫んだ。
『エデン!他の奴らを連れて逃げろ!こいつらは俺が食い止める!』
『なっ…何言ってるんですか隊長!!一人でこんな大軍勢を止められる訳無いでしょう!』
『そんな事は分かってる!こいつらが何なのか教えてやる。』
『え?』
『こいつらはシン王国近衛部隊。普段はなかなか戦場に出て来る事は無いが、シン王国の最強の部隊だ!更にこいつらを束ねているのが十二将騎士団といってシンの十二人の最強の将達だ!エデン。お前がいくら剣に自信があるとはいえ奴らは別格。敵う訳がない…。』
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