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あれだけ激しく降っていた雨が弱まり、雲の隙間から所々太陽の光りが差し込みだした。
エデン『ザクト!ライル!離してくれ!』
エデンは両脇を抱えられながらジタバタと足をバタつかせていた。
そのせいで中々逃げる速さが上がらない。
ザクト『駄目だ!エデン!隊長がせっかく俺達の命を庇ってくれたんだ。悔しいがあの状況ではどうしようもない!』
エデン『だからといって隊長を見殺しにすんのか!俺は戻って隊長を助ける!お前達だけで逃げてくれ!』
ライル『…いい加減にしろ!エデンは隊長の覚悟を、男の覚悟を踏みにじるつもりかよ!』
ライルが怒鳴った。
エデン『くっ…。でも悔しくねーのか!情けなくねーのかよ!?』
エデンも上を向き引きずられながら叫んだ。
ライル『悔しくない訳ねーだろ。情けなくない訳ねーだろ!……でもなぁ、俺達は逃げるしか無いんだ…。』
ザクトもライルも悔し涙を流していた。
エデン『ちくしょう…。』
エデンは力無く呟きうつむいた。
エデン(……ん?何の音だ?)
エデンは自分達の足音や遠くで聞こえる喧騒以外の音が聞こえた。
顔を上げ辺りを見渡すと、自分達が逃げて来た方から数騎の騎馬隊が迫って来ていた。
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