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シュバイツは自分の部屋へと戻った。
部屋は自分が一番落ち着ける環境である。
窓という窓は完全に閉めきって、そのすべてに真っ黒なカーテンが掛かっていて部屋には一筋の光りも入らないようになっていた。
シュバイツはそんな真っ暗な部屋を慣れた足取りで歩き、大きな椅子へ座った。
椅子へ座ると足を組み、静かに目を閉じた。
(この十年、私の目的を果たすために何人の人間が苦しみ、悲しみ、落胆したであろう…。)
シュバイツはその事を考えると愉快で仕方なかった。
(―――悪…。私の事をそう呼ぶ者もいる。確かに間違いではない…。今までの平和な日常を私のせいで失った人間は数知れない…。だが…この世界を本来あるべき姿に戻すのが私の仕事なのだ。何も知らない愚か者は滅びればいい。)
シュバイツがそんな事を瞑想していると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
シュバイツ『何だ?』
『お休みの所を申し訳ございません。例のギャスパーの王女の情報が入って参りました故…。』
シュバイツ『ほう?居場所が掴めたのか?』
『おそらく。ラグノーマ地方にて目撃情報が数件届いており、ほぼ間違いないかと。』
シュバイツ『成る程…、近くにグラビットとシープラスが居るハズだが、奴らはセイツ進攻には欠かせないからな…。』
シュバイツは椅子に座ったまま腕を組みしばらく考えて、
シュバイツ『トリーンに伝えろ。セイツ進攻以外に、もう一部隊ラグノーマへ向かわせろとな。だが、あの男が必ず邪魔に入るだろう…。多少の被害は構わんが、必ず生け捕りにしろ。』
『承知致しました。』
シュバイツ(ようやく見つけたか…。必ず私の手で殺してやる。汚れた王族の血は全て根絶やしにしてくれる。)
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