絶望の淵から…

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『お…おい…。だ…誰かは分から…な…いが……助け…てくれ。』 彼はしぼりだすように音の主に助けを求めた。 『驚いた。…まだ生きているモンがおったとは…。』 声の主はそう呟くと、彼の元へ歩み寄って来た。 彼が何とか視線を声の主に向けると、そこには薄汚れた衣服を身に纏い、両手に大量の剣や槍を抱えた老人が立っていた。 老人『こりゃヒドイ…。まだ若いのに…。』 彼は自分を見て憐れみの表情を浮かべる老人に助けてくれ、と懇願した。 だが、老人は… 老人『残念じゃが、わしは見てもわかる通り、貧しい老人じゃ…。あんたを助けてやれるような余裕は無い…。許してくれ…。』 そう言って、その場を立ち去ろうとした。 その言葉を聞いた彼は、力を振り絞り老人に言った。 『…ならば、せめて…故郷の…ソ…ソフィアの…方角に…体を…傾け…てくれ…。頼む…。』 老人『何じゃと?あんたはエントールの人間じゃないのか?』 老人は驚いた表情を見せ、彼の方を見た。
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