絶望の淵から…

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『お…俺は、生ま…れはソフィアなん…だ。じ…十年前…エントールへ…避難…した戦争孤児な…んだ…。』 彼が弱々しく呟くと同時に、老人は目に涙を浮かべて言った。 老人『そうか…。あんたはソフィアの生き残りか…。何を隠そうワシも元はソフィアの人間じゃ…。』 老人は彼に近づき慎重に彼の体を起こした。 彼は体中に走る激痛に顔を歪めた。 老人『一先ず、ワシの家へと連れていく。もう少し堪えてくれ。』 老人はしっかりと彼の腕を自分の肩に回し、支えながら歩き出そうとした。 しかし、老人が自分の家のある南の方へ足を踏み出した時、彼が小さく言った。 『すまない…が、一つ…ワガママ…を聞い…てくれ…ないか…。』 老人『何じゃ?』
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