絶望の淵から…

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『俺の…大切な人が…親父とも言える人が…少し北の方に…居るハズ…なんだ。も…もしかしたら…まだ生きてるかも…しれ…ない…。』 老人『何を言うとる!すぐに手当てをせんと死ぬ事になるんじゃぞ!それにワシはかれこれ二時間近くこの戦場をうろついておったが、生きておったのはおまえさんぐらいじゃ。その人も残念じゃが死んでおろう…。』 老人は彼を思い正せる様に言ったが、彼は聞かなかった。 『もし…死ん…でたとしても…あの人…にだけは…礼を言わなきゃいけないんだ。』 涙を浮かべながら懇願する彼を見て、老人は仕方なく北へと足を進めた。
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