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10年前 ソフィア王国 王都スペード ソフィア城内
青を基調とした城の大広間に2人の男が笑みを浮かべ対峙していた。
そして、2人の男の後方にはそれぞれ数十人の家来らしき人々が控えていた。
一方は黒髪の長髪をオールバックにし、スラッとした長身の男。
もう一方は白髪頭の恰幅のよい男。
その服装は様々な装飾が施された派手な恰好だ。
白髪頭の男が口を開く。
『いや~ソフィア国王、今年はソフィアの素晴らしい音楽隊の演奏に迎えられ…いやはや感激致しましたぞ。』
すると手を後ろに組み、かぶりを振りながらオールバックの男が答える。
『いえいえ、エントールの立派なコンサートホールでお聞きになられている大音楽隊に比べますと我が国の音楽隊なぞ…。エントール国王のお耳には…』
『まぁまぁ、そうご謙遜なさらずに。ソフィアの音楽は斬新で、どこか懐かしくも感じる。私はとても好きですな。ところで、私が一番最後ですかな?』
エントール国王はキョロキョロと辺りを見渡すそぶりで尋ねる。
『いえ、チョーク国王とシン国王がまだいらしておりません。それより夕食までまだ時間があります。長旅でお疲れでしょう?我が城の自慢の大浴場にて汗を流してこられてはいかがですかな?』
『ほぉ~それは有り難い。そうですな。それでは早速入らせて頂きます。』
そう言い終えるとエントール国王は広間の奥の階段を登っていった。
それを見届けた後、ソフィア国王は腕組みをし、怪訝そうに何かを考えていた。
(おかしい…。遠く離れたエントール、カンバスが到着したというのに、チョークはともかく隣国のシンがまだとは…何かあったか?………まぁ、よい。しばらくすれば到着するだろう。)
ソフィア国王も広間の奥へと歩いていった。
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