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夕刻 ソフィア城内大食堂
5人の国王が円卓を囲み、それぞれの席に着いている。
『おや、まだチョークとシンの国王は来ておられぬのですかな?』
年老いてはいるが体格の良いセイツ国王が口を開く。
『そのようですな…。』
エントール国王が相槌を打つ。
すると、中年の2人の王が話す。
『これではせっかくの夕食が冷めてしまいますね。カンバス国王?』
『全くですな。ギャスパー国王。』
『やはりギャスパー、カンバス両国王は御若い。食欲旺盛で羨ましい!しかし私らも若い頃はそうでしたな?ねぇエントール国王?』
『そうでしたな。あの頃は鉄の胃袋で通したものです。』
『ワハハハハ』
和やかな雰囲気が食堂に流れる。
それから半刻ほど王達は談笑したり国政について語り合っていた。
途中、ソフィア国王は側近の者を呼び何やら耳打ちした。
会議が始まり1時間以上が経過した。
しかし、依然としてチョーク国王とシン国王が現れる様子は無かった。
『それにしても遅すぎやしませんかね?』
カンバス国王が周りを見渡しながら呟いた。
すると、ギャスパー国王もすかさず口を開いた。
『うむ、5年前に私がエントールでの王国会議に向かう途中で馬車が壊れてしまったのだが、あの時でもここまで遅くはならなかったがな~。』
『先程、使いの者に国境付近まで迎えにいかせたのですが…』
ソフィア国王がそう言い終わる間際、大食堂の扉が勢いよく開いた。
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