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「浪川姫さ、元気出してよ」
いつの間にか俯いていたらしい。その言葉に顔を上げる。
「え?」
元気を出して欲しい? どうしてだ。自分に元気があろうがなかろうが彼を振り回したりしないのだから構わないだろう。
「落ち込んでたら幸せが逃げていくって、知らない?」
一人が目を細めた。
落ち込んでいたら幸せが遠ざかっていくと言うのなら、自分は長いこと落ち込んでいたのだろうか。
両親が離婚し、自分の気持ちも考えられずに母から離され。入りたくもなかったこんな学校に入れられ、五月蝿くて苦手な奴に掻き乱され。挙げ句の果てには自分が分からなくなってきた。
もしかしたら今気が落ちているから、小さな事でさえも悲観的になっているのかもしれないが。
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