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「なーんか皆恥ずかしくて話し掛けらんないらしくてさ」
高坂は、視線を廊下を向いたまま石化した思誓に戻しまた歯を見せて笑った。
「みんな浪川くんと仲良くしたいらしいよ」
「はあ……」
大歓迎じゃないか。
少し形は歪んだ歓待のようだが。
ここで授業開始を告げる鐘の音が校舎中に響き渡った。
珍しい事に、機械的なチャイムではなく本物の鐘を使っているらしい。
その高い音を合図に、2年E組に群がっていた生徒達が拡散した。
形良い眉をひくつかせていた思誓としては、その音に救われた気さえした。
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