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「ああ、それでこんな所にいたんですか。新入生にはよくあるんですよ。校舎内の地図とか、所々にあるんですけどね」
良かった。これで本当に帰れる……。
思誓はほっと胸を撫で下ろした。
「じゃあ案内しますよ」
そう言い江藤は歩き出そうとする。
「え、江藤先輩、それ持ったままですか?」
「はい?」
そんなに重そうなのに……。
「こんな所に置いていくことも出来ませんから」
そう言うと江藤はすたすたと歩き始めてしまった。その後ろにちょこちょこと付いて歩く思誓。
「……それ、どこに運ぶんですか?」
「生徒会室ですよ」
思誓から顔は見えないが、口調や声からして恐らく彼は微笑んでいる。
これでやっと帰れるのだ。
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