甘声創 -ｱﾏｺﾞｴﾂﾞｸﾘ-

shade

　こんなに資料みたいなものがあって、会議している訳ではないのか、と思誓は思った。

　江藤がそのテーブルの端の方に荷物を置いたので、思誓も真似る。

　「有難うございます。助かりました」

　「いいえ、俺殆んど何もしてないし……」

　「そんな事ないですよ、本当に助かりました」

　そこへ御堂の冷たい声が飛ぶ。

　「ほら江藤。喋ってないで資料渡せ」

　「はいはい。分かってますよ、相変わらず人使いがあらいですね会長」

　宥めるように言い、紙の山から一枚を御堂に手渡す。

　しまった、生徒会という事は御堂もいたのだ。気まずい所に来てしまったと、思誓はここに来た事を少し後悔した。この二人のやりとりは、むしろ傍観者の方が精神的に疲れるというものだ。