shade

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 人間の脳とは思ったよりも単純な構造をしているらしい、とかなんとか思誓がごちゃごちゃ考えていると、突然薄っぺらい鞄の中の携帯が、メールの受信を示す着信音をけたたましく発する。  ――学校出て、取り敢えず電源いれといたんだっけ。  しかし今の思誓にとっては、そんな音など苛つきと疲労の種にしかならない訳で。  いますぐ携帯を取り出して二度と鳴らないように叩き割りたい気分だったが、さすがにそんな事をする訳にもいかず、発信源の鞄を不機嫌極まりないといった表情で睨みつけていた。  それでも仕方なく、鞄から黒い携帯電話を取り出しメールボックスを開く。  名前は取り敢えず表示されているが、はっきり言って顔が思い浮かばない。
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