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恐らくあの地獄の休み時間に迫ってきた奴の一人だったのだろう。そんな、顔と名前を一々覚えている余裕など、あの時の思誓には無かった。と言うより、覚える気など端から更々無い思誓なのであった。
ふと思誓の脳裏に、今朝の高坂終の言葉が過ぎった。
『みんな浪川くんと仲良くしたいんだってさ』
仲良く……。
友情……。
情け、愛情……か……。
――友情ごっこに付き合えるほど、俺は……。
思誓はベッドの上で携帯電話と睨めっこしたまま、どこか辛そうな表情を浮かべていた。
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