shade

15/15
前へ
/582ページ
次へ
 恐らくあの地獄の休み時間に迫ってきた奴の一人だったのだろう。そんな、顔と名前を一々覚えている余裕など、あの時の思誓には無かった。と言うより、覚える気など端から更々無い思誓なのであった。  ふと思誓の脳裏に、今朝の高坂終の言葉が過ぎった。  『みんな浪川くんと仲良くしたいんだってさ』  仲良く……。  友情……。  情け、愛情……か……。  ――友情ごっこに付き合えるほど、俺は……。  思誓はベッドの上で携帯電話と睨めっこしたまま、どこか辛そうな表情を浮かべていた。
/582ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2910人が本棚に入れています
本棚に追加