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「ふざけんなよ親父!!」
とある豪邸の一室に少年の怒声が響き渡った。
「勝手に離婚して、勝手に転校させて、アンタ、俺の生活を壊すのがそんなに楽しいかよ!?」
「すまんな、思誓……」
本当に申し訳なさそうに少年に詫びる男性――、どうやら、その少年の父親らしい。
「小さい時からアンタは仕事仕事、俺や母さんに何か父親らしい事したことあったかよ!?」
一度爆発してしまった憤怒の渦は止まらない。
少年のヒステリックにも近い叫びが、彼の実の父に雨霰と降り、刺さる。
「面倒見てくれたのはいつも母さんだった。忙しいからとか、そんな理由で構って貰えなくて、アンタとの思い出なんかありやしない!」
少年の父は浴びせられる怒声に反論などせず、ただバツが悪そうな表情を浮かべているだけだ。
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