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「浪川思誓(なみかわ しせい)くん?」
「は、はい」
片方の青年に問われ、思誓は反射的に返事をする。
こちらの人の方が少しだけ背が低いか。
「江藤馨糸(えとう けいし)っていいます。生徒会副会長です。宜しくね」
江藤馨糸と名乗った青年は、にこりと微笑み右手を差し出した。
状況が上手く飲み込めていない思誓は、その右手に一瞬躊躇ったが、すぐに握手だと分かりこちらも右手を差し出す。
そうして握手を交わすと、もう一人の青年が声を掛けてきた。
「ふん。さすが生徒会副会長様。媚を売るのはお得意みたいだな」
恐らく、いや確実に、それは思誓に対する言葉ではないようだ。
ようやくほんの少しだけ状態が飲み込めてきた思誓としては、またその言葉で自分が取り残された感覚になる。
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