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 会長がふんと鼻を鳴らす。  お互いに笑顔を浮かべ静かに争っているのでかえって怖い。むしろ怒鳴ったりとかしてくれた方がこちらも仲裁に入りやすい……、そんな事を考えながら、学園のトップの言い争いをおろおろと傍観する思誓に副会長の江藤は気付いてくれたらしい。  「……と、ほら、浪川君が困ってますよ。自己紹介したらいかがですか」  「あ? ああ……そうだな。御堂悠羅(みどう ゆら)、荊城学園の会長だ。よろしく」  生徒会長の御堂悠羅の方は、思誓に握手を求めたりはせず、寧ろ全然馴れ合うつもりもなさそうに構えていた。  ここで、御堂の言葉に思誓は問いを返した。  「え、『荊城学園』? ここって青嵐学園じゃないんですか?」  思誓の瞳が長身の二人を見上げた。
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