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また「浪川姫」などと声を掛けられては面倒なので机に突っ伏して眠いふりをしていたら、朝のうちは誰からも挨拶以外の声を聞く事はなかった。
思誓の席は窓際にある。ひょいと空を見上げれば、重たい雲がなんとも遅く流れていく。昨日はぽかぽかと麗らかな日だったから、こういう変化も楽しいかもしれない。
普段空を見上げて考え事などしないが、こうして当たり前で、誰も意識しないような小さい変化に目を向けてみるのもたまには良いものだ。
楽しいかもしれないが、良いかもしれないが。
曇った空は今の自分の心を表しているようで少し嫌だ。どんよりしている、すっきりしない。まるで自分の悪いところを見せつけられている気さえする。
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