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相手を傷付けるような真似をするつもりはなかった。
自分が人を避けるのは相手のためなどではない。他でもない自分のためだ。完全な私情であり、私欲。その所為で各の心を侵害するような事があってはならない、そう思う。
結局、思誓が求めている人物、高坂終は朝のホームルーム開始ギリギリの時間に教室へ飛び込んできた。
黒というよりも濃い灰といった髪を乱し、まだ朝だというのに、大人びた顔には何やら疲れに似たものが窺えた。
勿論話し掛ける余裕などなく、休み時間に謝ろうと思った。
やはり気になってホームルームの間何度か終の方を見やると、終は何やら難しい顔をしたり時々頭を抱えたりして一心に何かを書いていた。
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