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20分ほどして澄んだ鐘の音が響き渡る。
思誓は早速声を掛けようと終の座る机へ向かった。
しかし、近くへ行った時、椅子を引く耳障りな音と共に思誓の目の前で終の背が高くなった。終が椅子から立ち上がったからだ。
終は思誓を瞳に映す事なく、そのまま一人廊下へ出て何処かへ行っしまう。
トイレか何かか、彼に用事があるならと思いその時は思誓は終を追う事はしなかった。帰ってきたらにしようと自分の席に戻り、また自分の気持ちと同じ空を眺めてぼーっとしていた。
灰色の雲が重々しく動く。
すぐに帰ってくるだろうと思って待っていたが、時計を見るともうあと一分ほどで授業が始まってしまうくらいだった。
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