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避けられているのではないか――。
用事があるフリをして、自分を遠ざけているのではないか、と。
そんな事は自分が彼にしていた事と幾分の相違もない。まったく同じ事だ。いや、先にしていた自分の方が悪いから、完全に同じとは言い難いかもしれない。なのに悲しさを感じている自分自身に、思誓は吐き気がした。勝手過ぎる自分に対する嘲笑、そして嫌悪。考えるだけで腹の底から湧き上がってくる熱い液。すべてが自分を責めるためにあり、その存在意義を為す。
「…………はあ」
彼はきっとそんな事をしないと勝手に思い込んでいたのが甘かった。
思っていたよりも深い落ち込みように思誓自身が驚いたくらいだった。
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