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授業にも身が入らず、かと言って気になる終の方を見るのも心が痛み。やはり空を見てばかりだった。
誰も足を踏み入れる事を許されていない終の心を土足で汚し、それとそこから来る苦しみも碌に拭えない。
もう思誓は自分が分からなくなりそうだった。
謝りたいのは自分の利益のためか? 彼の心を守りたいから? 何が自分の想いなのだろうか。
よそ見をしすぎて、担当の教師に何度も注意を受けた。その度にすみませんと言う声が震えている事も、その声を聞いたクラスメイトが自分を振り返っている事にも思誓は気付いていなかった。
長く憂鬱な時間が過ぎ、休み時間になっても思誓は終の所へ行く元気を失っていた。実際、終はまた何処かへ行ってしまったようで教室に姿はない。
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