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授業中様子の可笑しかった思誓の元に数人のクラスメイトが集まって来た。
「浪川姫、具合悪いのか?」
「保健室案内してあげようか?」
「あ、いや……そういう訳じゃないから……」
驚くほどすんなりと話せた。まあ、こんな事を偽る必要もないが。どうせなら保健室のベッドで横になっていたい気分だったが、今一人になったりしたら余計に自分が空回りしそうだ。
「でも何か顔赤いし、熱あるんじゃない?」
――顔が赤い?
思誓の頬は本人の知らぬ間に紅潮し、瞳は微かに水気を帯びていた。感極まって思わず顔に表れてしまったようだ。
「やっぱ行った方が良いって。立てる?」
一人の手が腕に触れる。
「ううん、本当に平気だから」
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