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慌てたような口調で言うと、腕から手が離れた。
「じゃあ何か悩み事?」
「俺で良ければ相談乗ろうか」
悩み事……なのだろうか、これは。
「……大丈夫」
どちらにしろ、彼等に自分の今の感情を包み隠さず話す気はない。さっきのは相手方の質問に簡単に受け答えていただけだ。
しかし、
「……あの……高坂さん、何処に行ったか知ってる?」
誰かの情報を聞き出すために自分を偽る必要はない。何処に行ったかが分かっても、今はそこに向かう気力はないから、あくまで確認だ。
「高坂?」
「さあ……?」
「休憩になる度にどっか行っちゃうからな、捜してんの?」
首を傾げながら口々に言う。どうやら皆も終の行方は分からないらしい。
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