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「で、これはあれか、配達間違えか?」
「間違えてないわよ」
二人同時に紅茶に口をつける。
舌が痺れる熱湯は、朝の不機嫌を和らげる。
のだが、俺は猫舌なのですぐにカップを置いた。
「誰がお前を俺のとこに?」
「私」
アッサムが気に入ったのか、少女はなかなかカップを置かずに香りをかいでいる。
「ふ~ん。で、何のようで?」
「まぁ、その前にお互いに自己紹介しない?」
カチャリ、とやっとカップを置き、少女は真面目な表情で俺をジッ、と見つめた。
その瞳、まるで威嚇をするような威勢を含み、まるで仕事をしている人のよう。
「杉咲光(すぎさきひかる)だ」
「私は、マキ」
ピクリと、俺の眉が勝手に動いた。
「…………何の、マキだ?」
「あら? わかってるんじゃないの?」
「…………さぁ?」
マキはクスリ、と笑い。
「モバゲーの、マキよ。あなたを監視しに来たの」
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