マキ

4/4
前へ
/13ページ
次へ
「で、これはあれか、配達間違えか?」 「間違えてないわよ」 二人同時に紅茶に口をつける。 舌が痺れる熱湯は、朝の不機嫌を和らげる。 のだが、俺は猫舌なのですぐにカップを置いた。 「誰がお前を俺のとこに?」 「私」 アッサムが気に入ったのか、少女はなかなかカップを置かずに香りをかいでいる。 「ふ~ん。で、何のようで?」 「まぁ、その前にお互いに自己紹介しない?」 カチャリ、とやっとカップを置き、少女は真面目な表情で俺をジッ、と見つめた。 その瞳、まるで威嚇をするような威勢を含み、まるで仕事をしている人のよう。 「杉咲光(すぎさきひかる)だ」 「私は、マキ」 ピクリと、俺の眉が勝手に動いた。 「…………何の、マキだ?」 「あら? わかってるんじゃないの?」 「…………さぁ?」 マキはクスリ、と笑い。 「モバゲーの、マキよ。あなたを監視しに来たの」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

494人が本棚に入れています
本棚に追加