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「そこまで重くないじゃないか」
先ほどの業者は非力なのだろうか。
こんな人一人分の重さ、二人がかりで運ぶほどのモノではない。
―――ドサリ、荷物をリビングに置く。
当たりは静か。
荷物を開けるのは、なんだかパンドラの箱をあけるかのよう。
静けさが無駄な緊張をあおり、俺はそれに流される。
暑い。
今年の夏は、体力だけではなく精神すらも弱体化させる。
中に爆弾が入っていたら?
中に死体が入っていたら?
あぁ、この荷物が、俺の精神の弱さで、パンドラの箱に見える。
「でも、禁忌なんて大げさなものあげられて、開けたくならないなんておかしいさ」
だから、開ける。
知らない荷物。
ダンボールのガムテープに手をかけ、思い切り引いた。
ビリィーッ、ビリ―――
縦、横、端。全てのガムテープを取り、俺は戸惑うことなくダンボールを開けた。
「あぁ~、やっと出られたわ―――!」
中身は、俺とそう年の変わらない、女の子だった。
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