プロローグ

1/1
前へ
/58ページ
次へ

プロローグ

次の試験で校内張り出しの順位の中に入れなければ家に帰ってはならない。 それが母親の決めたルールで。 秋の期末テストで酷い点を取った時から俺は一人暮らしをさせられてる。 初めはよかった。 親に何も言われない、邪魔されない空間に酔いしれた。 でも今となっては。 親からの仕送りは生活ギリギリなだけで、バイトが厳しく禁止されてるうちの高校に通う俺に、他に収入源なんてない。 増してや今年の4月からは受験生。 こんな時期からこっそりバイト始めるなんて言っても、すぐ辞めなきゃいけなくなるだろうから、本当に何の意味もない。 実家ならお金払わずにメシも食えたし、欲しい物は何とかお金を貯めて買ってたけど。 こんな生活の中じゃそれも出来ない。 どうにか家に帰ろうと必死に勉強をしだしたのは年明けに友達と行った初詣の後だった。 久しぶりだし、なんて気楽にカラオケなんか行くんじゃなかった。 もはや危ない。 今月のメシ代。 考えれば考える程に悲しくなってきて、目の前のノートに向かってシャーペンを突き立てた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加