16人が本棚に入れています
本棚に追加
食べてる間は暇なので本でも読もうかと、机の横に散乱させてる漫画本の大群に手をかけた。
これは昨日読んだ。
これは読み飽きた。
…これも最近読んだばかりだ。
ガサガサと探ってみたけど、家から持ってきた本しか無いし、テレビもCDデッキも無いこの部屋の中に暇つぶしになる物は他になかった。
仕方なく俺はベッドに向かった。
そして。
ベッドの横の壁をグーで2回、殴りつけた。
ゴンゴンッ
これは合図。
俺たちしか知らない、呼び出し音。
少しして、隣の部屋から同じ音が、今度は俺の耳に響いてきた。
ゴンゴンッ
今日は、いるんだな。
隣に住んでいるのは顔も知らない隣人。俺が知ってるのは佐々木という名前と大学生だってこと。それと男ってこと。
俺は隣人のことなんてそれしか知らない。
別に興味があるわけでも無いからそれ以上のことなんて、聞こうとも思ってはいない。
『高宮? どうかしたのか?』
俺から呼び出しておいて何の呼びかけもしなかった俺に、少し心配そうな声で、そう聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!