1.奇妙な関係

2/4
前へ
/58ページ
次へ
食べてる間は暇なので本でも読もうかと、机の横に散乱させてる漫画本の大群に手をかけた。 これは昨日読んだ。 これは読み飽きた。 …これも最近読んだばかりだ。 ガサガサと探ってみたけど、家から持ってきた本しか無いし、テレビもCDデッキも無いこの部屋の中に暇つぶしになる物は他になかった。 仕方なく俺はベッドに向かった。 そして。 ベッドの横の壁をグーで2回、殴りつけた。 ゴンゴンッ これは合図。 俺たちしか知らない、呼び出し音。 少しして、隣の部屋から同じ音が、今度は俺の耳に響いてきた。 ゴンゴンッ 今日は、いるんだな。 隣に住んでいるのは顔も知らない隣人。俺が知ってるのは佐々木という名前と大学生だってこと。それと男ってこと。 俺は隣人のことなんてそれしか知らない。 別に興味があるわけでも無いからそれ以上のことなんて、聞こうとも思ってはいない。 『高宮? どうかしたのか?』 俺から呼び出しておいて何の呼びかけもしなかった俺に、少し心配そうな声で、そう聞こえた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加