2.流行に乗れない俺

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2.流行に乗れない俺

「あ、高宮。お前一緒にMINATOのライブ行かないか?」 次の日、学校へ行って一番初めに言われたのはそれだった。 俺は形ばかりで中身は空っぽの鞄を机の横にかけて、6人ほどが集まる男子の集団の中へと入っていった。 「みなとって何?」 聞いた俺の言葉に周りの奴らは一瞬ぽかんとして、その後すぐに、 「お前それは流行に乗らなさすぎだろ!」 と叫んできた。 そう、言われても。 知らないものは知らない。 俺は口を尖らせて悲しそうな表情を作って見せた。 「じゃ俺にテレビ買ってくれ」 そう言うと一番仲のいい芝ちゃんが笑いながら軽く首を絞めてきた。 「そんな金あったら女でも吊るっつーの!!」 言いながら芝ちゃんは更に腕に力を込めた。 「苦しっギブギブっ芝様っお許しくだせえっ」 俺の言葉に回りがドッと笑い、芝ちゃんも手を離してくれた。 そしてその後すぐに、 「芝ちゃん、来週のMINATOライブのチケット買ったらしいんだけど、一緒に行く奴考えてなかったらしいよ」 そう誰かが言った。
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