2.流行に乗れない俺

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帰り道、俺は本屋を覗いた。 買うほどの金は無いけど、今日話題に出ていたMINATOとか言うバンドを見ておこうと、音楽雑誌のコーナーに向かった。 「あれ?高宮じゃん」 その途中の車雑誌のコーナーで立ち読みをしている芝ちゃんがそう声をかけてきた。 俺は芝ちゃんに小走りで近寄って、持っている雑誌を覗き込んだ。 表紙には最新のF1の車の写真が載ってて、芝ちゃんが読んでるページは来年の新モデルについてのインタビュー記事のようだった。 「芝ちゃんこんなの興味あったんだ?」 聞くと芝ちゃんは雑誌を閉じた。 「いや、暇つぶし」 そのまま芝ちゃんはF1雑誌を棚に戻すと、鞄を肩にかけ直しながら、 「高宮は何か買うのか?」 聞かれて。 「MINATOってどんなのかと思って見に来たんだけど」 そう答えると、芝ちゃんは嬉しそうな顔をして、 「ライブ行ってくれる気になったか!」 とか言ってきたので、 「俺様は忙しいのだ」 そう答えて芝ちゃんの肩をポンポンと叩いた。 渋い顔を見せた芝ちゃんだったけど、こっちにある、と言って音楽雑誌のコーナーのMINATOが表紙の雑誌を教えてくれた。 …何というか。 そんなに派手なメイクとか髪型とかはしてないんだけど、随分カラフルな衣装を着ている4人組だ。 1人は全身青で揃えたスーツで青いアイシャドウ塗って青い口紅塗って。 他の3人は全身赤いのと、黄色いのと、黒いのだ。
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