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そのうち子供達が次々と集まり始めると、ウサギは子供達の頭を撫でたり、写真に応じ始めた。
「・・・・」
そんな光景を五郎が眺めていると、携帯電話の呼び出しが鳴る。
相手は浅野からのようだ。
「もしもし?」
「五郎か。今どこにいる?」
「人が多すぎて今どこにいるのか自分でもよく分からないけど、ユートピア・タワーの近くにはいる」
「桐井も一緒か?」
「いや、僕一人だよ」
「そうか・・・・。それならタワーに来てくれ。今、加納と一緒にいる」
「分かった。もう少ししたらそっちに行くよ」
そう言って五郎はやや一方的に電話を切った。
「ごめんよ浅野君。君はやっぱり怒るかもしれないけど、僕にはわざわざ危険に巻き込むようなことは出来ないんだ」
しかしそれだけではなかった。
この戦いだけは自分一人でやらなければならない。
何故だかそんな気がしていた。
目の前に広がる微笑ましい光景に潜む殺気を察知した五郎は、陽気なチラシを握りつぶす。
それを合図にしたかのように、ウサギは痛快にステップを踏みながら移動を始めるが、その手は明確に子供達を拒絶していた。
子供達の輪から外れていくウサギの後を五郎は追いつかない程度の速さでついて行く。
行き先はチビッコパーク。
チビッコパークという名の殺し合いの場へ。
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